- ゲストは当時 Google のPeople Operations責任者・ Laszlo Bock 。新刊『Work Rules!』を土台に、「職場を行動科学で設計する」とは何かを語る回。番組の導入は“仕事はしばしば最悪だ、でも必ずしもそうでなくてよい”という宣言から。
- まずは 採用 。直感やブレインティーザーは捨て、 構造化面接+ワークサンプル+一般的認知能力(GCA) を組み合わせるのが最も予測精度が高いと説明。質問は全候補者で一貫させ、評価はルーブリックで可視化する。面接官も階層を越えて多様化することでバイアスを抑える、という実務まで触れる。
- 次に マネジメント 。Google の長期研究 Project Oxygen で、良いマネジャーの行動10項目(「良いコーチ」「任せて細かく管理しない」「明確なビジョン」「効果的なコミュニケーション」等)を特定し、昇進・育成・1on1に落とし込んだ……という“データから運用へ”の循環を紹介。
- さらに チーム設計 。 Project Aristotle の結論――鍵は個人のスター性ではなく 心理的安全性 ――を確認。メンバーがリスクを取って発言できる場をどう作るかがパフォーマンスを分ける、と。
- そのうえで“ナッジ”的な 職場の細部設計 (例:食堂やオフィスの選択肢・デフォルト・表示の工夫)を通じて、健康や協働や集中を 邪魔しない環境 を作る、という思想で締める。詳述はBockの書籍へ誘導。
- Oxygen / Aristotle は公開ガイドに固化 10行動モデルや心理的安全性の作り方は、今も re:Work で誰でも参照可。導入手順やトレーニング資料まで出回っているので、他社・他業界でも“そのまま実装”がしやすい。
- 構造化面接は“業界標準”へ 複数研究・実務レビューで、 構造化面接+仕事サンプル の組み合わせが高い妥当性という合意が定着。Google 方式(質問の標準化、評価のルーブリック化、面接官の多様化)はその代表例として引用され続けている。
- “心理的安全性”の再強調 2016年のNYT長文記事以降、心理的安全性は“流行語”から 運用設計の中核 へ。コロナ以降のリモート/ハイブリッドでも「雑談の設計」「発言順・ファシリ手順の明確化」「非同調意見の歓迎ルール」など 手続き的安全 に焦点が寄った。re:Workの「チーム有効性」ガイドはその実装の起点になっている。
- “ナッジ”は“フリクション設計”へ拡張 食やオフィス動線の小さなナッジは、今は 良い摩擦を残し、悪い摩擦を削る “フリクション・マネジメント”の文脈に統合。採用・IT申請・1on1準備・休暇取得など業務プロセスそのものを“正しい行動が起きやすい形”に組み替える動きが主流。