これは #042 とセットで読むといいやつだね。
うん、完全にセット。ざっくり言うと——
- #042(脱偏見の身体ハック) :VR・ラバーハンドで「相手の身体に入る」= 感覚側からの近道 。一時的でも、バイアスを“緩める”実験的手法。
- #048(接触+自己開示) :当事者の物語と対話で 関係側からの近道 。条件が揃えば 持続的な更新 が起きる。
組み合わせるなら:
- プリバンク:#042的な“体験で守備力を下げる”→
- ディープ・キャンバシング:#048の“物語で攻撃力を上げる”→
- フォロー:行動・規範・制度で固定化。
この話は安直に扱いたくなくてね。「ラポール」の話が出てるんで思うことなんだけど、これって「臨床心理士って大変な仕事なんだよ」みたいなことも伝えたい、そういうトピックなんだよね。人の心を「操って」治療するのは、とても大変なことだし、それが出来るプロは称賛されるべき、そう思うの。なんかそういう臨床心理士の体験談的なエッセイ紹介みたいなこと出来ないかな?
いいね、その切り口はまさに「職人の現場」を見せるのが効くやつ。臨床心理の“手触り”とラポール作りのリアルが伝わる読み物を、英日まぜで厳選しておく
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Irvin D. Yalom『The Gift of Therapy』(抜粋) 「診断よりも、成長の障害をどけること」を軸に、短章で現場の所作が語られる。訳本未読でも英語の無料抜粋だけで“ラポールってこう作るのか”がわかる。 (psychotherapy.net) (scribd.com) (yalom.com)
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Irvin D. Yalom「Love’s Executioner」周辺エッセイ “セラピストも人間だ”を容赦なく晒す名文。対人距離や転移・逆転移の難しさが生々しい。
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Lori Gottlieb『Maybe You Should Talk to Someone』+“Dear Therapist”連載 セラピストが患者にもなる往復運動。境界線・共感・面接の失敗談まで率直。連載は無料で多数読めて、ラポールと倫理の現実がケースで学べる。
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Kay Redfield Jamison『An Unquiet Mind』 臨床心理学者自身の双極性障害の回想。専門職の脆さと専門性の両立を真正面から描く古典。
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河合隼雄『こころの処方箋』 臨床家の比喩と語りで「人の話を聴く」姿勢が腑に落ちるエッセイ集。技法書じゃないのに実務に効く。
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富樫公一「臨床家への問いかけ(8)応答の仕方…」 「ラポールを作ろう的ハウツー」への違和感から出発し、応答の習得を“人付き合いの延長ではない”として捉え直す短論考。軽ハウツーに流されないブレーキとして最適。
- Verywell Mind Podcast(Lori Gottlieb回) 来談者の“物語”をどう言い換え、どう境界を保つかの実務感が音声で掴める。
- “テクニック集”としてでなく、姿勢と倫理を読む。 Yalom も Gottlieb も「うまい質問」より 関係の作り方 に紙幅を割いてる。
- 失敗談に線を引く。 「ここで境界線」「ここは自分の欲求」をマーカーしていくと、ラポールの実装が見えてくる。
- 日本語×英語の二層読み。 日本語は比喩で腑に落とし、英語のケースで“運用”を確認するのがラク。
ごめん、1 以外はどれも直接オンラインでは読めないわ。でもありがとう。1 だけでも随分わかることがある。
よかった。#1(Yalom『The Gift of Therapy』)だけで十分“ラポールの職人芸”は伝わるよね。せっかくなので、#1から拾える 実務エッセンスだけ をコンパクトに置いとく(引用ではなく要約・言い換え)。
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関係そのものが治療 うまい技法より、 いま・ここ で起きている二人の関係を一緒に眺めることのほうが効く。 →「いま私の言葉はどう届いた?」と 関係をメタに点検 する。
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“自己”を道具として使う セラピストの人間味(迷い・違和感・喜び)を 慎重に開示 し、相手の探求を助ける。自分語り大会にはしない。
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ラポール=“安全+尊厳+好奇心” 評価・診断ラベルを急がず、 非防衛の空間 を先につくる。沈黙は素材。急がない。
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プレゼントは“解決策”じゃなく“余白” 答えより 探索の足場 を渡す。宿題は“正解タスク”でなく“気づきのトリガー”。
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境界は思いやり 境界(時間・関係・お金)は 二人を守る柵 。破らないことが信頼の前提。
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修復の練習こそ治療 小さな行き違いを “ここで直す”体験 が、外の人間関係の雛形になる。
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普遍性の力 「自分だけじゃない」を実感させる(グループなら特に)。 羞恥の孤立 をほどく。
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死・自由・孤独・無意味 (実存の4本柱) 多くの症状の根っこを貫く“重い問い”。 避けずに言葉にする と、症状が動くことがある。
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セラピストも間違える 失敗を 早めに名指しして謝る 。それ自体が“回復のモデル”になる。
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旅の比喩 治す人/治される人じゃなく、 同じ方角を見て並んで歩く 。地図はクライアントが描く、セラピストはコンパス。
- 姿勢 :評価モードOFF(治そうとしない)。
- 合図 :オープン質問×短い相づち×沈黙を待つ。
- 反映 :要約→確認(「こう聞こえたけど合ってる?」)。
- メタ :いまここ感情を1回だけ言語化(「今ここで〜と感じた」)。
- 境界 :時間・目的・次の一歩を“二人の合意”で締める。
- “正義の技法”の前に“関係の地面” 。 まず安全と尊厳、そして好奇心。これがない正義は壊すだけ。
- 修復の終わり方を先に決める 。 赦しの条件=説明・是正・再発防止。Yalom的に言えば、 関係の修復練習 を社会に展開する発想。