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導入:人の心は変わらない? いや、変わる。 テーマは「 接触(contact) と 自己開示(disclosure) 」。偏見や強固な態度でも、正しい条件の接触と、当事者の個人的な物語の開示があると変わりうる――という話からスタート。ベースには 接触仮説(Allport→Pettigrew & Tropp の大規模メタ分析) がある(同等の地位/共通目標/協力/制度的支援で偏見は下がる)。
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自己開示は“物語”として効く 立場や正論よりも、「私がこれで傷ついた/助かった」という 一次の体験談 が、相手の 防衛的思考を下げ、共感ルート を開く。ここで「 Disclosure(打ち明け) 」が鍵語になる。YANSS は、怒りの応酬より 弱さの共有 が効くと説く。
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(当時の)最新研究の波乱:スキャンダル→再検証 2014年に「当事者の対面会話で同性婚の賛否が長期に変わる」という LaCour & Green の有名論文が出るが 不正発覚で撤回 。ただしその後、 Broockman & Kalla (2016, Science) が 透明な手続き で “ディープ・キャンバシング” をテストし、 10分程度の対話 で トランス差別が数か月単位で低下 することを示した(当事者か否かは効果に本質的でない)。
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導入:いま復活した“恥刑” 中世のさらし台(ピローリー)の現代版が SNSの公開吊し上げ 。名指し・晒し・一斉拡散で、 たった一つの投稿が人生を破壊 しうる、というところから話が始まる(ジョン・ロンソンは当事者への長期取材で全体像を組み立てる)。
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ケース1:軽率なツイート → 世界規模の断罪 旅の機内での不用意なジョーク(※例として知られるのは“アフリカ/AIDS”のツイート)。 文脈崩壊(context collapse) が起き、到着と同時に 世界中の嘲笑と怒り 、解雇、実名検索の地獄化。投稿は1つでも “何者か”の全人格に変換 される。
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ケース2:職業的過失→償い不可能な“永久刑” 作家の捏造・盗用などの 実害ある過失 でも、 謝罪の場そのものが見世物 になり、 贖罪の終わりがない 。公式謝罪会見や講演は 赦しの儀式にならず 、 羞恥のエンタメ に吸い込まれていく(拍手喝采=赦し、にならない)。
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導入:「レーザー眼」と「レプティリアン」 ネットで拡散する“政治家の目からレーザーが出ている”写真や、「爬虫類型宇宙人が人間に化けている」「事件は政府の自作自演=フォルスフラッグだ」等の話題を入口に、 なぜ人は荒唐無稽でも確信できるのか を解剖。ゲストはスティーブン・ノベラ(Skeptics’ Guide to the Universe)。
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認知のクセ:パターン過剰検出とエージェンシー過剰検出 脳は生存のために 「あるはずのない規則・意図」まで見てしまう (pareidolia/hyperactive agency detection)。光学的アーチファクト(赤目・レンズフレア・シャッター歪み)が “レーザー”や“蛇の瞳” に見えるメカニズムを説明。
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陰謀論の心理学 確証バイアス・比例バイアス(大事件には大原因を求める)・動機づけられた推論 が結託すると、 “証拠探しではなく解釈替え” が起きる。偶然・ノイズ・矛盾は 「更なる陰謀の証拠」 へと再物語化される。